Garageキック

Bicycle No.11 Supergoose Jr. のブレーキレバー


 Supergoose Jr. は親子共々気に入っていたのだが、ブレーキのタッチが今ひとつのような気がしていた。どうもしっくりこないのである。ある日整備をしているときにブレーキレバーを見てその原因が分かった。フロントにサイドプルブレーキ・リアにVブレーキが付いているのだが、それに対してレバーの方は左がサイドプルブレーキ用で右がVブレーキ用なのであった。

 Vブレーキは普通のブレーキよりもワイヤーの引きしろが多いので専用のブレーキレバーを使わなくてはいけない。右のレバーがVブレーキ用になっていて、そのレバーでフロントブレーキを掛けている、という状況。理論上はフロントは効きすぎ・リアは不足ということになるのだろうが、ショートタイプのVブレーキであるせいか危険という程でもなく、「タッチが悪い」という程度であった。でも気付いてしまった以上、放っておく訳にはいかない。

photo:右ブレーキレバー photo:左ブレーキレバー


 左の写真(右用レバー)と右の写真(左用レバー)を見比べると、支点からブレーキワイヤーまでの距離が違っているのが分かる。右用レバー(左写真)の方が引きしろが多い。

 もともとアメリカでは自転車は右レバーでリアブレーキを掛けるらしい。ロードレース用などでも、高級なフロントブレーキは左レバーとセットで使ったときにワイヤーの取り回しが最適になるように出来ているようだ(ということはヨーロッパもかな?)。右手でフロントブレーキを掛けるのは日本だけなのだろうか。

 更に、BMXレーサーの場合はリアブレーキだけしか付いていないのが普通で、フロントブレーキは日本で売るために後からセットされているようだ。Supergoose Jr. の場合、日本向けカタログにはフロントブレーキ無しの写真と「日本仕様のため前後装備」という注意書きがあった。

 ここであっさりと右をリア・左をフロントにするか、フロントブレーキを外して右をリアにしてしまえば解決するのだが、当ガレージではそれはやらなかった。幼稚園〜小学校低学年ではまだ頭と体が一致しないので、「右がフロント」「左がリア」などと覚えているのではなく単に「ブレーキ」として覚え、どっちを掛けると車体がどうなるというのは体で覚えているようだ。ブレーキの左右を入れ替えてしまうとそれがごっちゃになってしまうのではないかと思ったのだ。

 他の自転車に乗り換える度に「あれ、どっちだっけ」となるのも面倒・・・というかある意味危険だし、オートバイは世界中右が前ブレーキだ(たぶん)。当ガレージでは右がフロントブレーキということにこだわった。おそらくセットアップしてくれた自転車屋さんも同じ考えだったのだと思う。

 少年時代は体でパッと反応できるようにすることが大事だと思う。そのためには余計な悩みを取り除き、ライディングそのものに集中できるようにしてあげるのがよいのでは、と考えている。ある程度乗れるようになるまではシングルギアに乗らせているのも同じ理由である。

photo:改良後の右ブレーキレバー photo:改良後の左ブレーキレバー


 最初はレバーホルダーごと全部入れ替えようかと思ったのだが、支点のナットが上に来てしまうのでちょっと格好が悪い。そこで、ホルダーはそのままにして、レバーを外して左右を入れ替えた。タイコが入る部分が丸見えになってしまうが仕方がない。ブレーキタッチは最高(というか本来のもの)になった。


photo:角度調整後  レバーにはやや垂れ角がついており、端に行くほど下がっていた。レバーの左右を入れ替えたことで逆に端に行くほど上がっていくようになってしまったので、レバーホルダーの角度で調整した。写真で見るとややずれているような気がするが、実際に握ってみる分には許容範囲内という感じである。


(2001.06.24.)


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