【商品テスツ】

No.6 キャメルバック

CAMELBAK

 苦い思い出がある。1989年に北海道で一周70kmという長丁場のオートバイ耐久レースに出場したときのこと。ハンドルにつける水筒を用意していたのだが、当日は非常に緊張していたため装着するのを忘れてしまった。無いことに気付いたのはスタート直前。まあイイやと何も考えずにスタートしてしまった。当時日本一過酷と言われたレースで、私のレベルでは走るどころではなく押したり引いたりの繰り返し。途中でどうにも我慢が出来なくなり、沢の水を飲んでしまった。北海道の沢の水を飲むのはエキノコクスの危険があって非常にヤバい。最初は一口だけのつもりだったが、口の中が潤った瞬間に理性が吹っ飛び、がぶがぶ飲んでしまった。スタートしてもすぐにバイクを止めて、ピットまで戻って水を取ってきてから改めてスタートするべきだった。

 それからしばらくはウェストバッグにくくりつける水筒を使っていたが、水を飲むためにはエンジンを止め、ヘルメットを取らないといけない。そこで3年ほど前の7月、夏のエンデューロレースに出る時にキャメルバックを買った。簡単に言うと背負える水筒である。中のビニール袋にはチューブが付いていて、口元まで伸びている。普段は肩ひもにあるフックに引っかけておき、水が欲しくなったらくわえる。チューブの先には簡単なふた(というか切り込み)があって、軽く噛むと切り込みが開き、水が出てくる。普段はほとんどこぼれない。坂道を上りきれなくなって押し上げた後など、軽く一口飲むだけでも非常に楽になる。

 とても暑い日のレースだったので有り難さが身にしみた。しかし、その後はレースに出なくなり、たまに走ってもあまり広くないところを軽く走る程度になってしまった。キャメルバックはしまい込んでしまった。

CAMELBAK  2000年の5月、次第に自転車にハマっていき、ついに富士見パノラマに行くことになった。初めてのフィールドで初めてのスポーツ。どんなコースでどんな長さかも分からず(初心者向きで約7kmということは知っていたけど)、しかもメインは自分じゃなくて子どもなので慎重に準備した。大きめのウェストバッグに缶ジュースを入れてスタート。しかし缶ジュースでは一度開けると飲み切らなくてはならないし、500mlのペットボトルではバッグにしまうにはちょっと大きい。自転車にボトルがつけられればいいんだけど、足に当たりそうだったりドロドロになりそうだったり跳ねたときに飛んでいっちゃいそうで今三つ・・・

 キャメルバックのことを思い出し、富士見二回目の挑戦となった7月に持ってきた。駐車場の水道でキャメルバックに水をたっぷり入れ、オトーサンが背負う。更にその上からモトクロス用のブレストガードを装着。ヘルメットもオートバイ用。ダウンヒルではプロテクターはジャージの中につけるのが流行っているから、この格好はかなり目立つ。

富士見パノラマ  まじめにコースを攻めている人から見ると「なんだこいつら」って見えちゃうのカモ。でも我が家のダウンヒルはあくまでも子ども中心だから、大人と違ってあまり無理はさせられないし、疲れたら休ませたり、体力が無い分大人がカバーしてあげなくちゃならないのだ。初心者向きのCコースとは言っても、自転車も体も小さくて大人よりも大きな負担が掛かっているわけだし。

 ウェストバッグに水筒でもいいんだけど、出すのが面倒になってほとんど飲まずに残ってしまったりする。オトーサンも子どもも軽い喘息持ちなので、無理して発作が出たらアウトである。ゴンドラの中や、ちょっと休憩したときにちょろっと水を飲む。子どもにも飲ませる・・・これが疲れずに楽しく下りてくる秘訣だ。

富士見パノラマ 3回目となった8月は、キャメルバックだけを背負いブレストガードはつけなかった。本当はつけるに越したことはないんだけど、子どものペースに合わせてCコースとBコースの上半分を流すだけだし、キャメルバックも一応は脊髄ガードの役割をしてくれる・・・激しく転んだらずれちゃうだろうけど。このときはヘルメットの頬パッドもつけなかった。最初は単に忘れていただけなんだけど、仕方がないので走ってみたらほとんど影響は無いし風がたくさん入ってきて気持ちがよかった。別にレースをする訳じゃないからこれでいいのだ。

 今のモデルはずいぶん大人しいデザインになってしまったが、私が使っているものには「Hydrate or Die」と、強烈な言葉が入っている。そういえば昔は「水を飲むとバテる」なんて言われて、野球の練習中に水を飲むことは許されなかったなあ。今年の甲子園でも水分補給に失敗してどうこうなんて話があったから、今も迷信は残っているようだ。もっと楽に、楽しくやればいいのに。

(2000.09.04.)



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