【商品テスツ】

No.8 二段型ケージ

photo:feret  寒い冬の夜、ふるえながらボロ布にくるまるハム君(フェレット/オス/1歳半)に何かしてあげなくてはと思い、円形のペット布団を買ってきたことから話は始まった。家に帰って「さあこれで暖かいよ」なんて言いながら布団をケージに入れようとす・・・あれ、入らない。ケージが小さいのだ。意味無いじゃん。

 やむをえず外に置いた布団に潜り込むハム君を見ながら「そういえばこいつも大きくなったなあ」などと思っているうちにだんだんケージの狭さが気になってきて、新しい広いケージにゆったりと住ませてあげたくなった。床面積が同じならタテにでかい方が住人(フェレット)にとってもいいんじゃないかという気がした。本当は毎日一時間ぐらいは遊ばせないといけないのだが、忙しいときは閉じこめっぱなしになってしまうこともあって、そんなときも広いケージならいくらか罪悪感も減るのではないかという飼い主側の勝手な気持ちもある。

 で、冬休みのある日、手頃なケージを見つけて購入したのだった。フェレット用ではなく、どちらかというと猫用っぽい。上に乗っている青いのがそれまで使っていたフェレット専用のケージである。

photo:feret  ケージはプラスチック製で、格子目は約32mm間隔。すくすくと育ったハム君にはちょうど良いだろう・・・と思っていた。

 夜、家族が寝てからケージを組み立て、ハム君を新居に移動させた。最初はきょろきょろしていたが、やがて床を掘ろうとしたり格子目にかみついたりと反抗的な態度になってきた。しばらくすれば慣れて大人しくなるだろう・・・とPCに向かい、日記を書いたり他のページを見ているうちに何かが私の脚に「グニャ」っとぶつかった。

 「あれ? ハム??」

 ハム君はケージから出て足下で攻撃態勢に入っている。扉を閉め忘れたかと思い、捕まえて新居に戻した。気を取り直してPCに向かうが、よく考えてみたら扉は閉まっていた。どこから出たんだ、アイツ・・・

photo:feret  振り返るとそこには驚愕の風景があった。

 約32mmの格子目を、最大幅約80mmのハム君がくぐり抜けているのだ。

 何度か鼻先をぶつけ、「イケル」と思ったらつっこむらしい。いったん首まで通過する。しかし胴体は格子目の倍以上、無理じゃないかと思って見ていると・・・

photo:feret  「だっぽんだっぽん」という感じで、骨格から肉から内蔵から・・・体中を揺れ動かせて抜けていくのだ。

 最初見たときは本気で焦った。毛むくじゃらのせいもあるけど、体のまん中に格子目が突き刺さっているように見えた。

 「フェレちゃんは狭いところがだ〜い好き」なんてことはネットにもたくさん書いてあるが、この姿を見ると「だ〜い好き」などという生やさしいものではなく“種の記憶”のようなものなのではないかと思う。遠い先祖が厳しい生存競争の中で生き延びるために身につけた技なのではないだろうか。

photo:feret  しばらく観察してみたが、失敗して「いててて」となるときもあるようだ。

photo:feret  頭をつっこむときに結構力と勢いがいるようだったので、これはケージの一番下で踏ん張ってから出ているんだろうと推測し、手持ちのタイラップで出られないよう工夫してみた。

 結果は・・・甘かった。一番下じゃなくても脱出出来るようだ。

 仕方なく古いケージに戻し、何日か様子を見た。ハム君のすり抜け能力は日毎に高くなっていき、脱出するだけでなく出たり入ったりして自由に遊ぶようになってしまった。

photo:feret  部屋の中にはPCや電源ケーブルなどいろいろとやばいモノもあるし、このままでは飼い主・ハム君共々安心して暮らしていくことが出来ない。やむを得ず、DIYセンターでプラスチック製の網を買ってきて周りを囲んだ。少しでも隙間があると脱出してしまうので、最下段はタイラップを多めに使い固定した。まん中がだぶついていると脱出したつもりでそこに入り込み身動きがとれなくなってしまう可能性があることに途中で気付き、やはり入念に固定した。

 格子の上から白い網がついたので、中がほとんど見えなくなってしまった。見ていていらいらするので、天井部分だけは網を張らないでおいた。中の様子を見るときは天井からのぞき込むことにし、人間とペットを区分けしつつもある程度の一体感を保っておきたかった。

 翌朝、部屋に入ってみると、ケージの中に生き物の気配が無い。部屋の隅にはウンチが・・・「やられた」。イスに掛けておいたフリースが床に落ちている。フリースを持ち上げると・・・重い。そして何かがドサッと落ちた。ハム君だった。

 「こらっ! ハム!!」

 急に起こされたハム君は“なんだよ、うるさいなあ”という感じでこちらをにらみながらあくびをしている。

photo:feret  どこから抜けたのかと思っていたら、届かないだろうからとネットを張らないでおいた上部からであった。彼は器用に壁をつたい背伸びをして天井に達し、そこから出てきたのである。

 やむを得ず、天井にも網を張った。これが本当の「いたちごっこ」か。もうここまでくると当初の目的・・・新しい広いケージにゆったりと住ませてあげたい・・・なんてことは二の次になってしまい、飼い主は閉じこめることだけに執念を燃やしてしまっている。

 全面に網をはったことでようやく脱走はできなくなったが、中の様子は見にくく非常にうっとうしいものになってしまった。子犬や猫には非常に良さそうなケージなのだが、フェレットにはやはり専用のケージの方がよかったのか・・・とりあえずこのまま使い、そのうち前面だけでもアクリル板に交換してみようかと思っている。

(2001.02.23.)

photo:feret その後、透明の塩ビ板を買ってきて前面だけ交換した。パンチング加工(穴あき)のものとただの板とがあり、ただの板の方は厚みもいろいろあって迷ったが、結局ただの板でいちばん薄いものにした。通気性を重視すればパンチング加工の方がよさそうだが、今回は透明度(と値段の安さ)をポイントに選んでみた。左右・背面と上部は網のままだから通気性はさほど気にしなくてもいいだろう。

 プラスチック用のカッター(引っ張って溝を入れるタイプ)で切り、ドリルで穴をあけてタイラップで止めた。いちばん薄いものなのでかなりペラペラしている(下敷きよりも薄い)が、ハム君は脱走することもなく広い家で静かに暮らしている。飼い主も様子が一目で見ることができて一安心である。

video:feretham01.mpg(243KB) 交換作業の途中で、ハム君が脱出する模様のビデオ撮影に成功した。ご覧になりたい方は左の写真をクリックしてください。


(2001.03.26.)



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