航空無線を聞く


 昔から乗り物が好きな方で、特に飛行機は大好きな田舎に連れて行ってくれる大好きな乗り物だった。ネットで昔の羽田空港やBoeing-727など懐かしい写真を探しているうちに、飛行機の写真を撮る人は大抵航空無線を聞いていることを知った。

 毎日通勤途中で通りかかる羽田空港で、飛行機を横目で見ながらワクワクしている。離陸や着陸をする姿に遭遇すると非常にワクワクする。コックピットと管制塔との通信が聞こえればもっとワクワク出来るのかなと思った。また、ネットで公開されているパイロットの方々のサイト(特に日記)を読み、その仕事場をもうちょっとだけ身近に感じで見たいと思った。そこで航空無線を聞いてみることにした。

 ネットのおかげで調べたり道具を入手したりなどは非常に簡単になったが、その道に詳しい人が書いた話しは(初心者用に書かれているページでも)やはり最初は読むのが難しい。ここでは私が興味を持ってからここまででどういう経緯をたどったかを、出来るだけ専門用語を使わずに書いてみる。無線はさっぱり分からないがなんとなく飛行機やパイロットが好きという人には役立つこともあるだろう。


●下調べ

 思い立ってから数日、ネットで受信機の種類や評判をチェックした。初心者でも使えるよう簡単で、しかも安いものを探す。3つ程候補を絞り、最終的にはユピテルのMVT-3400に目星をつけた。評判もいいようだし、実売価格で2万円を切っている。万一航空無線に飽きたり使いこなせなかった場合でも、盗聴器発見キーがあるから実生活や仕事にも役立つことがあるかなとも考えた。

 仕事で秋葉原に行った時などに値段チェック。秋葉原では1万8千円位だった。ホームセンターでも売っているという話しだったが数件まわっても見つからなかった。


●入手

 ネットオークションでも探してみると、常時1〜2点は中古が出ているようであった。全くの初心者なので取扱説明書が付いた状態での個体を探す。が、付属品完備のものは1万2千円あたりが相場の模様。キムタク主演のドラマの影響で航空ファンが増えているのか、やや高騰気味のようだ。

 更にオークションを探すうちに新品で14,100円というものを発見。税込みで手数料や送料等は不要なので下手に中古を買ってそれらの費用がかかるより安いかもしれない。ホントに聞くのだろうか、使いこなせるのだろうかと不安になるが思い切って落札。すぐに振り込み、数日後MVT-3400が到着した。


●初受信

 あらかじめ用意していた単3サイズのニッケル水素電池を3本入れる(もちろん普通の単3アルカリ電池でも大丈夫)。説明書通りにスイッチを入れると「ザー」っという音が流れ出る。早速航空無線を聞いてみたい所だが自宅の室内では無理かと思い、とりあえず説明書を見ながら適当に操作して聞こえてきたものを聞いてみる。詳しくは書かないが、この日以来私は電話の子機は使わないことにした(笑)。

 翌日。通勤途中のクルマの中でスイッチを入れてみる。MVT-3400にはあらかじめいろいろな周波数がセットされていて、航空無線を聞きたいときには「1」→「スキャン」と押せば受信可能な電波を探してくれるらしいのでそうしてみる。羽田空港まで15kmほど・障害物無しの所まで来たときに急にはっきりした声で「アルファ」とか「スリーフォーレフト」などの声が聞こえた。どうやら空港の情報(使用滑走路とか風向きなど)をアナウンスしているらしい(後でATISというものであることを知った)。これまでは湾岸線を通るときに煙突の煙の向きを見て「右から飛んできて着陸するな」などと予想していたが、これでどっち向きかはズバリ分かるようになった。

 更にスキャンしていると時たま「スカイマーク・・・」などと言っているのが聞こえた。どうやら飛んでいる飛行機と管制塔とのリアルなやりとりが無事聞けた模様。買ってきたままの状態でボタンを2個(電源ボタンを入れると3個)押しただけだが聞くことが出来た。


●だんだん慣れてくる

 面白がって聞いているうちにだんだん雰囲気が分かってきた。その上でもう一回ネット上でいろいろ検索してみると、以前読んでいて分からなかった事がなんとなく分かるようになっていた。

 初日に聞こえて感激したATISは、家の近所(羽田空港から直線で約30km)でもなんとか聞き取ることが出来た。残念ながら我が家は谷間のような所に位置するため家の中では聞こえない。

 他にも出発や到着(あえて日本語で書く)は空港からの話しは聞き取りにくく、クルマの中で聞いている場合横浜を過ぎて空港が近くなってきた頃からバリバリ入り始める。飛行機からの話しは家のあたりでも良く聞こえる(よく考えたら当たり前だが)。家の上に飛行機が飛んでいるのを見つけたらスイッチを入れると聞こえてくることもあり、あの飛行機のパイロットの声かななどと思うと楽しい。どこ行きの飛行機かなども(交信の中でどこどこ行きと言うわけではないが)調べるきっかけになる。


●最近のパターン

 家を出発してバイパスに乗ったあたりでATISが聞こえてくることが分かったので、その辺でスイッチオン。雑音の中からとりあえず使用滑走路を聞いてチェック。34L/R(羽田空港で南北方面に伸びている二本の滑走路を南から北に向いて使用)だと、湾岸線横浜方面から見ると到着機が右からやってくるのが見える。16L/R(同じ滑走路を北から南に向いて使用)だと出発機が右方向に向かって上昇していくのが見える。

 滑走路の向きが分かったらその日の気分で出発または到着の周波数に合わせる。夜21時を過ぎると出発機は減って到着機ばかりになるので到着を聞くことが多い。空港周辺ではまた別の、離陸や着陸に直接かかわる部分(タワーと呼ばれているらしい)を聞く。34Rの近くの道路を走るときに離陸許可が出るのを聞き、その飛行機が離陸していくのを見ると今までよりも飛行機を身近に感じられるような気になってくる。

 今のところこのように通勤のクルマの中でラジオ代わりに聞くような使い方がほとんどで、残念ながらまだ空港や周辺に行ってじっくりと聞きながら見るなんてことは出来ないでいる。しかしこれだけでも十分楽しい気分になる。まあそのうちそういうチャンスもあるだろう。

 飛び去っていく飛行機に次の受け持ちに周波数を合わせるよう指示を出す管制官。復唱して確認するパイロット。女性管制官の場合はパイロットが「グッデイ」とか「グッバイ」と言う確率が高いような気がするのは気のせいだろうか。


 周波数や専門用語については詳しく解説しているサイトが沢山あるのでそちらを参照ください。
2003.12.23.-2004.1.24.

商品テスツ indexに戻る