Garageキック

Bicycle No.2 子ども用MTB

GIANT MTX240SL スペシャル

 二輪の乗り物でオフロードを走る喜びを子供と共有したい・・・そう思っていろいろと試行錯誤してきた。自転車ではBMXマシンで練習を始めるのがいいんじゃないかなと思いあれこれしたのは以前にも紹介したとおり(こちらにあります)。

 しかし、BMXは専用のコースでないと能力を発揮しにくいという難点がある。ただのオフロードというだけではなく、石を取り除いたりブラシをかけたりとテニスコートと同じぐらいに手間をかけたコースで走るのが最近の姿だ。クルマで一時間ほどのところにミニコースはあるのだが、毎週行くのはちょっと大変。近所の原っぱや河原では路面が荒れていてBMXマシンではややきつい。

 そこで、そろそろMTBに乗せようか、という気になった。もちろんBMXもいままで同様継続して乗せるつもりである。軽めのギアでぐるぐるこいだり、挙動を理論ではなく身体で覚えるにはBMXがいちばんいいんじゃないかと思っている。街乗りにしても、まだ小学2年生でさほど遠くに行くわけでは無いし、路上で慣れないギアチェンジをして危ない思いをするよりはシングルギアのBMXの方が向いているだろう。ということで、MTBはオフロードの性能を第一にして考えてみようと思った。

 ディスカウントストアやスーパーマーケットに行けばママチャリと同じ程度の値段で子供用のMTBを売っているが、あれはあくまでもMTB風自転車(MTBルック)であって、悪路を走らないようにという注意書きもある。見た目にだまされてはいけない。ズックと登山靴、どちらが安くてどちらが登山に適しているか・・・ということだ。

 小学一年生(身長120cm)では20・22・24インチが選択肢になる。各社のカタログを見てみると思ったよりはラインアップがあるようだ。しかし、宣伝文句では「大人顔負けのMTBです」などとうたっているのに、写真を見るとさほどレーシーな雰囲気を感じないものが多い(雰囲気というと誤解があるかもしれないが、本当のレーサーと“レーサー風”の区別を付ける目は一応持っているつもりなのだ)。スポーツの道具として考えると、子供用だからと質を落としてでも安いほうがいいというわけではないし、かといっていたずらに大人と同じ部品を使ってマニアックなほど高価になってしまったマシンを選ぶつもりもない。コストパフォーマンスが大事なのである。

 いろいろ考えて、GIANTのMTX240SLかMTX240L(両方とも24インチ)のどちらかが良さそうだというところまでは絞り込めた。その上にMTX240DSLという見た目はもろにDHレーサーというものもあるのだが、さすがにこれは行き過ぎかなと思った。ぐんぐんこぎながら進むことが大事な時期じゃないかと思うので、リアはリジッドの方がいいだろうと考えたのだ。もっと予算枠を広げればGIOSなどで本格的なクロスカントリー車を出しているのだが・・・

240SLのフォーク

 ここから先は、前にGTのDYNO BRAZEを買った店(横須賀のショーワ)に行って相談。最初はウェイティングでの足つきを考えてGTが話のメインになっていたが、カタログを見比べているうちにGIANTがアルミフレームであることが判明。「なら絶対こっちです」となった。あとはSL(サス付き)かL(サス無し)かということになって、やはり小さいうちはサスペンション無しがいいとアドバイスを受ける。ここまではイケる・これ以上はコケる・・・というところを体で覚えるにはサス無しが一番とのこと。しかし現時点でもフロントフォークは当たり前、今後はフルサスが主流になるのは間違いない。だったら小さいときから慣れていてもいいのではないか(別にレーサーにする訳じゃないんだけど)と考えて、240SL(サス付き)一式と240L(サス無し)のフォークをパーツとして同時に入れてもらうことにした。最初は240Lのフォークを組み付け、慣れてきたところで240SLのフォークと入れ替える。サス付きフォークを部品で買うよりも安く上がるし、あとから部品だけ取り寄せるよりも手に入れやすい。なかなかのアイディアであったと思っている。

サドルを低くセット  数日後に240SL(L仕様)は納車された。納車時にシートポストを切り詰めてもらい、シートをぎりぎりまで下げたのだがまだ若干高いようだ。そこで金具をいったん分解し、逆に組んで2cmほど下げる。安っぽいシートポストが逆に利点になった。

ノーマルのハンドル周り  シート高が解決すると、今度はハンドルバーの高さが強調されてしまった。高いだけでなく、位置(ステムの突き出し)も遠いようだ。

ノーマルと交換部品の比較  そこで、短いステム(40mm)と、AHEAD式ステムを取り付けるアダプターを購入。ハンドルバーを低く手前に持ってきた。更にハンドルバー自体もフラットなものに変更した。両端をパイプカッターで切り詰めて、子どもサイズに合わせておいた。

交換後のハンドル周り  パッと見には子ども用MTBじゃなくて本格的なAHEAD式のMTBに見える。スタンドは工場出荷時に装着されていて、とりあえずそのまま走り出したらやっぱり便利(あたりまえ)なのでそのままつけてある。ハードなライディングをするときに外すつもり・・・だが、帰ってきたらまたつけるだろうな。

 ちょっとステムがごつすぎるような気もするので、モトクロス用のバーパッドのウレタンを巻き付け、タイラップで固定しておいた。慣れるまではつけておいたほうがいいだろう。

FUN IN MOTION  たかだか子供の自転車になんて贅沢な、と感じる方もいらっしゃるかもしれない。でも、これがスキーだったらどうだろうか。スキー好きの親が子供にちゃんとしたスキー道具を買い与え、一緒に滑ったとしても決して贅沢ではないだろう。自転車も同じだと考えている。

 かといって、ただ高価な物を買い与えておしまい・・・というわけにはいかない。その辺がおもちゃとスポーツの道具の違いだろう。親の仕事はあれこれ工夫して費用を抑えながらセッティングを出してあげ、乗りたいと言い出したときに乗せてあげる環境をつくるまで。乗りたくなるかならないか・もっと上手に乗りたくなるかならないか・・・は子ども自身の気持ち次第だ。

(2000.05.11.)

フロントサス付 上記の仕様で近所の森を走り、富士見パノラマのCコースも下りてきた。近所の森ではよかったが、富士見のCコースはさすがに厳しかったようだ。もうしばらくサス無しに乗せるつもりでいたが、サス無しはBMXタイプがあるからそちらでいいんじゃないかという気がしてきた。富士見パノラマがとても良かったので、今度行くときはもう少し楽しく走らせてあげたいなと言う気もした。それに、オートバイの練習をするときにサス無しの方がいいという話はあまり聞かない・・・ような気がする。

フロントサス付 そこで、ちょっと早めではあるがサス付きフォークに交換した。同時に、ハンドルもダウンヒル向きのアップタイプに交換。スタンディングでのマシンコントロールに重点を置いたセッティングにしてみた。

 早速富士見パノラマに行ってみた。前回はシーズンイン直後だったためか路面が整っていたが、今回は時間が経った分だけ荒れていた。しかし、「このフォークだからすっげぇ楽」とのことである。ハンドルも良かったようだ。クロスカントリーっぽい走りの時もこのままでいようかと思う。

(2000.08.24.)



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