早いもので第一子は小学四年生・・・もうすぐ五年生だ。身長はちょっと小さめでだいたい132cmあたり。幼稚園の年少の終わり頃に補助輪がとれ、小学一年生の途中からGIANTの24inchに乗っているのはこのコーナーでもご紹介したとおり。富士見パノラマのCコースが大好きで、たまにBコースの上半分も走る。Aコースも一度走った。
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二年生時 初富士見 Cコース | 三年生時 Aコース | 三年生時 Aコース |
レースの方は二年生の時に峰の原のスペシャライズドカップ(現カクタスカップ)に出て、キッズDH(一、二年生)で優勝。三年生の時は第三子出生直前のため欠場。四年生の時は後ろから数えた方が早かった。二年生の時は秋の開催で、そのシーズンは富士見を何度か走り、行くたびに上手くなっていった頃だった。四年生の時は春の開催で、その前年後半からほとんどコースやダートを走っていなかったため、走り方を思い出すだけで終わってしまったようである。
沢山走ろう。レース入賞が目標ではないけれど、速くカッコ良く遊べるようにしよう・・・と親子で決意したものの、バイクをどうするかという問題が浮上してきた。MTX240Sは今はちょうど良いサイズだが、下り系のスピードを今以上に上げて楽しむにはフロントサスペンションとタイヤがちょっと怖い気がする。また、第二子が来年二年生になるので、MTX240Sはそちらにスイッチさせたい頃である。身長がやや低めということもあり、大人用の26inchMTBではまだ少し大きいようだ。サドルを一杯に下げればなんとか乗っているが、下り系にはやはりもう少し小さいフレームが欲しい。
もうちょっと放っておくと、大人用MTBをそのまま乗れるようになるだろう。普通ならそのまま待つのだろうが、キッズ用BMX・MTBのセレクトとセッティングにこだわってきた当ガレージとしてはそれではちょっと寂しい。そこで、これまでの集大成として一台組むことにした。これまでと同様、パーツのグレード自慢ではなくサイズ合わせの工夫の勝負である。
組む前に、コンセプトとイメージを確認してみる。
などなど。
富士見に行き始めた頃は、「次はフルサスペンションで・・・」などと思っていたが、うみかぜ公園などで識者に聞いてみると「ハードテールがいいっスよ」とのことであった。www.yans.comなどを見ても、やはりハードテールでの芝スラを勧めている。まだまだ基本を覚える時期、ここはハードテールの方がいいだろう。
そのかわりタイヤは太めにしてクッションが効くようにする。26inchではまだ少々取り回しがキツイから、24inchホイールを使いたい。うまくパーツ・タイヤが見つかるだろうか。
クランクは絶対にこだわりたい。大人用MTBだと170mmとか175mmである。これをそのまま子供に使わせると、成長を妨げたり故障を招くことがあるらしい。それ以前に、オフロードではクランクを水平に(ペダルを左右同じ高さに)して立つのが基本ポジションだから、そのポジションが大股開きになって乱れてしまう。しかし、シマノのカタログを見ても165mmまでしかない。もうちょっと短い(152〜160mmあたり)のが良いのだが・・・見つかるだろうか。
これらの条件をクリアするために、ネットで検索をかけたりパーツカタログを探してみたりする。タイヤはIRCのKUJOに24*2.3があるようだ。店頭で売っているのを見たことはないが、ネットで在庫を表明している自転車屋さんもあるようだし、なんとかなるだろう。24inchにするためにはディスクブレーキが必要になるから、ディスク台座付きのフレームにしなくてはならない。クランクはBMX用に様々なサイズがあり、これが使えれば大丈夫そうだ。安めの大人用MTBを買ってホイールとクランクを交換するか、上手い具合にフレームが手に入ったらそれを元に組んでいくののどちらかになるだろう。
AZONICのDS-1かTUBAGRAのMOZUのような感じのものを探してみるが、DS-1はちょっとだけ大きめに感じた。MOZUはサイズはいいし、24inchにしてもVブレーキが使えるのが非常に嬉しいのだが、値段が高くて手が出ない。フレーム単体での購入はあきらめて完成車のモディファイにしようかと思い始めた頃に、ネットオークションでMongoose DEUCEのフレームが出ているのを見つけた。完成車バラシの未使用品で、サイズはXS。おそらく2001年モデルだと思う。DEUCEというモデルはそれまで全く知らなかったが、調べてみると今回の目的にはちょうど良さそう。XSってことはSよりも更に小さいわけで、Sまでしかないモデルよりも更に条件が良いということになる。完成車はディスクブレーキ仕様なのでディスク台座もついている(今時は大抵ついているが)。更にヘッドアングルの調整(69度・71度)も出来るようで、今回のようにキッズ用にサイズダウンして使う場合には調整幅が広がってとても良いような気がする。完成車での定価は178,000円だったらしい。
DEUCEのXSサイズの完成車の写真をネット上で探し、画像処理ソフトでサドル位置を下げてみてイメージを確認してみる。サドルの位置に対してハンドル位置がかなり上がってしまうが、他のフレームも同じようなものと思い、思い切って落札した。もし駄目だったら売って別のフレームを買えばいい、と気軽に考えることにした。ヘッドパーツとフロントディレーラー付きであった。
落札後すぐにフレームが到着。写真を見たときには「色がカッコ悪いからイヤだ」と言っていたライダーも、現物を見たら気に入った模様。この辺がうまくいかないと全く乗ってくれなくなるかもしれないので心配だったが、何とかクリアしてホッとする。子供の世界ではかなり重要なことなのである。
問題はクランクである。今使っているクランクが152mmだから、それよりちょっと長めということで157.5mm〜160mm程度のものを探してみる。BMX用のクランクでありそうな事はわかったが、それがMTB用のBBに装着できるのか、またフロントをダブルに出来るのか、歯数は何Tまで小さくできるのかなどが分からない。そこで世田谷のBMX RIOに相談。まずは大手パーツメーカーの自転車屋さん用のパーツリストを持ってきてくれて、廉価版のパーツに子供用があることなどを調べてくれた。ただし、完成車向けのパーツなので注文しても在庫がない場合や入手できない場合もあるらしい。
次に輸入品を探す。BMX用のクランクとMTB用のBBの組み合わせが大丈夫なことと、ひょっとするとフロントにギヤリング2枚までは大丈夫かもしれないということを教えてもらう。ODYSSEYのBLACK WIDOWというクランクが150mmから175mmまで5mm刻みでそろっているのを発見。これの160mmを注文する。翌週入荷してPCDをチェックし、110mmということが判明したのでTIOGAのギアリング(34T)を注文。あとフレームを持ち込んでチェックしてもらい、BBのサイズをチェック(73mm/122mm)してもらってからそれも注文した。BBは四角型でシマノのBB-UN72というもの。XTグレードだそうだ。
アームの形状を見ると確かにギアリングを2枚(トリプルで言うとアウターとセンター・・・大中小で言うと大と中)にすることも出来そうである。しかし、このバイクについてはフロントギアはもともとシングルにするつもりでいた。子供の場合、トリプルにしたところでどうせほとんどセンターに入れっぱなしになる。
大きめのギヤリングをグラインダーで削ってアウターの位置に取り付け、ガードにするつもりでいた。あれこれ机上で計算しながら何Tのギアリングを削るとちょうどいいだろうかなどと考えていたところ、別の店でRACE FACEのバッシュリングを発見。大きさもPCDもちょうど良く、ギアリングを削るよりも楽そうなので購入。何の加工も無しにあっさり装着できた。
難点は、BLACK WIDOWという子供用には全く向いていない商品名と、価格である。左右のクランクだけで18,000円と、その辺で売っている小学生用のMTBルック車よりも高く、下手すりゃ2台買えそうである。まあ、サイズが合うパーツが入手できて良かったことにしておこう。クランクそのものはとても頑丈な作りで、仕上げもきれい(磨き用の布までついていた)だし精度も良いようで気に入っている。
フロントフォークは、DEUCEの完成車では100〜120mmストロークのものが使われているらしい。大人ならROCKSHOXのPSYLO(サイロ)あたりになるのだろうが、ここは子供用ということであえてストロークを100mmに抑え、車高が上がらないようにしてみる。身長175cmの大人が130mmフォークを装着したときの感触を身長132cmの子供が味わうには100mmではないかと想像しての選択である(175:130=132:98.05)。あと、100mmならフォークが安いという大事な理由もある。
DEUCEはコラム長の長いフォークが必要なデザインで、185mm以上、出来れば190mm必要だったため安価なフォークを探すのが大変だったが、どうにかオークションで完成車バラシの2001年型JUDY-XCを落札。コラム長は185mm。「レーシングスラバイに付いていた物なので、標準品より下り系チューニングと思われます。ダンピングがしっかり効いた、良い感じです。」とのことである。よくよく調べてみたらDEUCEのフレームも元はこの人から出品されたものだった。
サドルやシートポストは大手ショップの在庫で安いものを探した。ステムは例によって低く短い物を探していたところ、たまたま締め付け部分の寸法が短い物(TIOGA TASK FORCE)を発見。値段はやや高かったが、コラム長に余裕がなかったのでこれがベストな選択となりそうと判断して購入した。
とりあえず主な部品がそろったので仮組してみる。ハンドルとホイール(26inch)はガレージにあった余り物である。
右サイド。ホイールはTREKのVRX200についていたもの。26inchでXC用のリムである。タイヤは26*2.1。ハンドルも余っていたXC用ストレートハンドル。ペダルも以前買ったけど色が気に入ってもらえなくて使っていなかった安物である。今回のフレーム色には合うようでどうやら気に入ってもらえた。踏面が小さめで子供向きである。この写真ではXC用ストレートハンドルバーが付いている。
まだチェーンも張っていない状態だが、試しに乗せてみる。ホイールを装着した上での車体の大きさやポジションの具合を見てみたのだが、やはりわずかに大きい。XCならいいがフリーライドにはもう少し余裕が欲しい。富士見で言えばCコースなら楽勝だけどBコースはきつそうという感じ。バランスを崩しそうになったときにリカバリーが難しそうなのである。このときはXC用ストレートハンドルバーを使用。
そこでやはり24inchで行くことに決定。ブレーキは必然的にディスクとなる。あれこれ指示するのも面倒だったので、ネット通販のサイトを探し24inchのホイールがラインアップされているところから購入。ブレーキはデオーレのメカニカルディスク、ハブは3,000円ちょっとしか違わなかったのでデオーレではなくXTにした。ハブは後からそれだけ替えるって訳にもいかないので、3,000円差ぐらいなら良いのを選んでおいたほうが良いだろう。
パーツのグレードにこだわるとXTディスクになるんだろうが、現実問題としていきなりそこまでお金を掛けるのもどうかと思うし、メカニカルディスクで十分ということにした。ライダーもまだ軽いし。
タイヤはとりあえずKUJOの24*2.35にしてみようと思い、近所の店で注文したところ問屋に無くて断られてしまった。そこでネットで取扱の表記があった大阪の有名店にメールしてみたところ、「在庫無しだが特別にメーカーに作らせた」とのことで無事入手。感動的である。ちょっと話しが出来すぎのような気もしないでもないが・・・
24*2.35と26*1.95を並べてみた。26*1.95が直径約65cmに対して、24*2.35は約62cm。車体に装着するとシート高が約1.5cm下がることになる。キッズではこの1.5cmの差は大きい。また、取り回しも約3cm分コンパクトに感じられるのではないだろうか。
だいぶ自転車らしくなってきた。自転車用のディスクブレーキの取付は初めてだったが、説明書通りにやれば大丈夫だった。
数時間後、一応組み上がった。ハンドルは位置が若干あがってしまうが、やはりいつも通りセミアップを使用することにした。もう少し工夫してグリップ位置を下げたい。
20年前にランドナーを一台組んだことがあるが、当時の知識はほとんど役に立たなかった。
細かい調整は必要であるが、ようやく組み上がって嬉しいので試走に出かけた。普段遊んでいる公園の周りでチェック。親の自転車(26inch)に乗ったときのぎこちなさが見受けられない。24inchにしてよかった。
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その後、数回の微調整を経てようやく落ち着いてきた。
フロントディレーラーはフレームを買ったときに付いてきたDEORE。下方向ギリギリに下げてセットしたが、ギアリング・バッシュリングとの差はご覧の通り。今のところまだチェーンは外れていない。
フロントディレーラーは調整ねじを締めて動かないよう固定している。
バッシュリング+34T(TIOGA)の装着具合。
常用ギアレシオをカバーしているならギアの段数は少ないに越したことはない。今回は最初からフロントはシングルのつもりでいた。リアはその分ワイドレシオにするべく、LXを使用した。
ライダーは3*9=27変速からの乗り換えであるが、幸いグレードダウンとはちっとも思っていないようだ。
フロントフォーク周り。ブレーキケーブルの取り回しに悩み、2度ほどやり直した後この状態に落ち着いた。
ハンドル周りは例によって短いステムと低めのアップハンドルを使用するセッティング。今回はハンドルを倒し気味にセットし、少しでも高さを抑えるようにした。グリップはSCOTTの二方向から面取りしているもの。少しでも細めの方が子供の小さな手でも握りやすいのではないかと思う。
ブレーキレバーは買いに行ったらデオーレが欠品していたのでやむをえずXTになった。高い部品はあまり付けたくないが、まあこれぐらいいいだろう。
左のハンドル周りがすっきりしているところが気に入っている。
Vブレーキだとリム幅が変わったらセッティングをし直さなくてはならないが、ディスクブレーキなので26inchのXCホイールに交換してもセッティングは不要・・・だと思う。もう少し背が伸びたらやってみよう。
ライダーは10歳3ヶ月。身長132cm。シート高約720mm。
ちょっとハンドルの位置が高く、漕ぐときに力が入りにくいようだ。あとタイヤもやはり普通に走るには太いようで、かなりパワーを食われているようである。
その代わり、段差や階段を下りるときは最強。
まだ近所の公園で試してみただけだが、タイヤが太いため相当ロスがある(DH用としては細目の2.35とはいえ、身長比で換算すると3.1以上の太さになる)らしく、距離が長くなるときや原っぱなどの路面抵抗が大きいところではあまり乗りたがらない。24*2.1あたりのXCタイヤが入手できれば試してみたい。また、そのためにはリムもXC用の方がいいかもしれない。ゴンドラがある富士見パノラマのB&Cコース用ということでは一応成功していると思う。完成車ベースのモディファイよりも面倒だが、その分楽しかった。
春が待ち遠しいのである。
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Mongoose DEUCE 24inch Freeride bike for kids |
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フレーム | Mongoose DEUCE | XS(約360mm) シート高約720mm(あと5mmほど下がりそう) たぶん2001年モデル |
フォーク | ROCKSHOX JUDY XC(2001) | 100mm |
ハンドルバー | grunge | たまたま家にあったもの 両端を大胆にカット |
ステム | TIOGA TASK FORCE | 40mm |
シート | SELLE ITALIA | ショップで一番安かった 小さめで薄めなので採用 |
シートポスト | 不明 | ボルト2本止めでいちばん安いもの |
クランク | ODYSSEY BLACK WIDOW | 160mm PCD110mm |
チェンリング | TIOGA | 34T RACEFACE BASH RING付 |
BB | SHIMANO BB-UN72 | 73mm/122mm |
ペダル | 不明 | 小さめで安い物 MTB用(9/16) |
Fディレーラー | SHIMANO DEORE | フレームについてきた 固定してチェーンデバイス代わり |
Rディレーラー | SHIMANO DEORE | |
シフター | SHIMANO DEORE | 右だけ |
スプロケット | SHIMANO LX | 9s(11,13,15,17,20,23,26,30,34) |
チェーン | SHIMANO XTR | そんなに高くなかったので |
ブレーキ | SHIMANO DEORE DISC | BR-M515-LA メカニカルディスク |
ブレーキレバー | SHIMANO XT Vブレーキ用 | DEORE欠品でやむを得ず |
ハブ | SHIMANO XT Disc | DEOREとは3,220円差だった |
リム | ARAYA RB907 | |
タイヤ | IRC KUJO 24*2.35 |
完成から約二ヶ月。初期の興奮が過ぎると次第に乗らなくなってしまった。やはりタイヤが太かったようで、相当パワーを食われて乗りにくいらしい。もう少し細いタイヤを探すことにした。しかしなかなか見つからない。ホームセンターでルック車用のタイヤでも買おうかとも思っていたが、運良くネットオークションでBMXクルーザー用の24*1.85を発見、無事落札した。最近話題のMAXXIS、Maxx Daddyというタイヤだ。
左がKUJO DH 24*2.3 右がMaxx Daddy 24*1.85
同じく左がKUJO DH 右がMaxx Daddy
Maxx Daddyはブロックの並び方が絶妙で、ダートでも効きそうだしストリートでも良さそう。
だいぶ軽くていい感じになったらしい。再び喜んで乗るようになった。
富士見パノラマにもMaxx Daddyのままで行った。Cコースを6本走って全く問題なし。楽しかったとのこと。