メルセデス・ベンツのトランスポーター その3


●ハイエースより荷室が短い!

 自分のクルマとなるベンツに初めて対面したのはとある自動車工場だった。ここで窓明けやリアシート付けを行うらしい。すでに窓は明いていて、荷室にはリアシートがゴロっと置いてある。窓は取ってつけたようなものになるかと思ったらちゃんと純正の窓だった。

 リアシートはデリカのものだろうと予想していたら、なんとハイエースの、しかもスーパーGLのシートだった。新車をキャンピングカーに改造した人がいたそうで、新品のまま取り外されたシートが運良く手に入ったとのこと。当時、スーパーGLのリアシートは下手な乗用車よりも出来がよいように見えたものだった。

 「これで最強だ(意味不明)」と喜んだのもつかの間、荷室が思ったよりも狭い!建前としては、このクルマは車イス生活の母も楽に移動できるように用意されたのだが、同時にバイクも積まなくてはならない。しかもバイクはKTM250E-GS。非常に長い。「どの辺に椅子を付けますか」と聞かれたが、できるだけ前にしてもバイクをまっすぐに積むのは無理なようだ。ハイエースなら、リアシートを思いっきり前に移設してもそれほど足元は窮屈にならず、バイクは真っ直ぐ収納できるのだが・・・まあ、前にボンネットがあるのが気に入ってこのクルマにしたんだから、荷室の長さが少々犠牲になるのは仕方がない。「狭くなりすぎないようにできるだけ前に」とだけ伝えて、あとは出来上がってから悩むことにした。

 以前NHKで、ボンネットなしのワンボックスで事故にあって足を切断した人のインタビューや、衝突して足が挟まってしまい、レスキュー隊に救出されつつある生々しい映像をみたことがあった。短いボンネットがあるこのクルマにあこがれたのは、あの番組の影響もあったかもしれない。

 

 

(注)荷室が短いのは、運転席・助手席の後ろにパーテーションがあり、そこから後席の寸法を求めたためです。現在はパーテーションを取り外し、後席をやや前方に移動することでハイエースと同程度からそれ以上の荷室長を確保しています。

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