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レクサスウォッチ その3

第2回
第1回

 今まではレクサスに否定的な意見しか思い浮かべることが出来なかったが、あの大メーカーがそんな浅いことをするわけがない。ではなぜ苦戦を覚悟で(たぶん覚悟してただろう)、実行したのだろうか。

 ヒントになったのは前回引用したデザイン雑誌だ。ネットワークによる情報のグローバル化、一地域の担当者レベルでブランド戦略を練ることの限界・・・この辺が大きく影響しているのではないだろうか。私が趣味としているエンデューロイバイクの世界でも、乗り始めた頃は輸入代理店の情報しか入手出来ない状態だったのが、今ではメーカーの自国のサイトも読めるし、他の国の代理店での販売価格もすぐ分かってしまう。通常の経費以上をノセているのがバレると、ネットの掲示板で話題になってしまう。

 外国製の車・バイクをひとくくりに「外車」と呼んでいた大昔とは異なり、情報が世界中を飛び交っている。「レクサスって日本じゃトヨタなんだぜ」「日本ではレクサスブランドはやってないんだって」などと海外で話題になってしまうことも簡単に予想できる。そして、それではいつまで経ってもメルセデスやジャガーを越えるブランドにはなれないのだろう。だから、日本で多少損をしようがレクサスブランドを成功させなくてはならない・・・んじゃないのかな。

 失敗だったのはLS(セルシオのフルモデルチェンジ)が出来る前に日本でスタートさせてしまったことだ。アルテッツァやソアラなど既存の車のAT変速段数を増やして、内装を多少豪華にしたところでマイナーチェンジとか特別仕様車と同じことだ。アルテッツァやソアラを売っていなかった国では新鮮な素晴らしいスポーツカーとして売れたかもしれないけれど、もともとアルテッツァやソアラを売っている(しかもあまり売れていない)日本で、それを数十万高くして(ついでに値引きも無くして)「新しいブランドの新しい車です」と言ったところで、「この値段だったらベンツやBMWが買える」となってしまうのだろう。

 あと何度かモデルチェンジをすれば「旧アルテッツァ」「旧ソアラ」というイメージも薄まって行って、台数も増えていくことだろう。しかし、苦戦は続くと思われる。そこで、テコ入れ策を考えてみた。

1.独立する

 本社はニューヨークあたりに置いて、エリートビジネスマンに密着したブランドというイメージを強める。「レクサス by トヨタ」よりも「Lexus Co., LTD.」の方がイメージ良さそう。トヨタの連結決算からも外れるぐらいに独立してしまおう。

2.日本法人の社長は外人にする

 レクサスジャパンを作って、新聞のインタビューなんかに登場する社長は細めで若めの外人に。


 上記1~2で、海外からやってきた高級車ブランド、品質は日本車(しかもトヨタ)ってのがアピールできるんじゃないかな。

3.ヤナセで売る

 これは効くだろうな。ヤナセはすごい顧客名簿を持っているだろうし、メルセデスのシェアの切り崩しには効果的なんじゃないかな。ヤナセも喜んで売るんじゃないかな。

4.既存トヨタ店で修理・点検・車検が出来るようにする

 イメージは完全に外車、あこがれのヤナセステッカー、品質はトヨタ、修理点検車検はなじみのトヨタ店。これで何の不安も無く、すべての美味しいところを取ってカーライフを送ることができる。トヨタ店も旧セルシオオーナーとのつながりを継続できるから、トラックやサクシード/プロボックスの売上は今まで通り。

 「そんなことしたらどこも儲からない。ダメに決まっているじゃないか」という意見が聞こえてきそうだ。たぶんその通りだ。他のところでうまく行っていることの美味しい部分だけをつなぎ合わせるなんてことは、そう滅多に出来るものではないだろう。よその美味しい部分を持ってくると、今まで持っていた・築き上げてきた美味しい部分が薄まってしまったり、無くなってしまったりするだろう。でも、それはそもそも・・・

 一地域限定の戦略を世界戦略にしようとしたら、要調整事項が多かった・・・ということなのだろう。

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