2008年1月 8日

ベストポリス賞

 日本で行われた初の本格的エンデューロレース「ITDE」(今はHTDEとなって受け継がれている)には「ベストポリス賞」(警察官ライダー)という賞があったらしい。他にも「ベストプレス賞」(新聞、雑誌社)とか「ベストフォーリナー賞」(日本国籍外)など、今のレースではあまり聞かれないような賞があったようだ(参考資料:ライダースクラブ1985-2 エイ(木へんに世)出版社)。

 この記事を読んだ当時、「面白い賞があるなあ」とか、「だったら『ベスト自衛官』とか『ベスト郵便局員』(中頓別のKさん、お元気だろうか)なんかも作ればいいじゃん」程度にしか思わなかったけど、今のこのご時世で思い返してみるといろいろと気付くことがある。

 当時はまだ浪人中だったり大学生だったりの頃で、まだバイクに乗り始めたばかりの、自分さえ楽しければよいと思っていた頃だった。まだまだバイクの人気が高かった時代だった。「レースなんだから速い奴が偉い」「職業が何だろうが順位はタイムで決めるのが一番公平」と考えるのが普通だろう。基本的には今でもそれは変わらないけど、「ベストポリス賞」や「ベストプレス賞」には、そういうタイムだけの世界とは別に、余裕とでもいうのだろうか、これからのオフロードシーンを盛り上げていくための遊び心のようなものがこめられていたように思うのだ。

 「ベストポリス賞」を受ける人はおそらく白バイ隊員である可能性が高いだろう。「○○部門で1位になった」という話しはどんなに些細なものでも後世まで残る。やがて白バイ隊員のトレーニングにエンデューロが取り入れられるようになったりするかもしれない。

 消防署にはトライアルバイクが配置され、他にもセローやTWなどが配置されている役所があるらしい。災害対策として素晴らしいことだと思うが、どこで練習しているのかと心配になる。広場に障害物を置いて乗り越えてみる・・・ぐらいしか出来ないのではないだろうか。

 関西の有名オフロードコースが閉鎖の危機に陥っているらしい。電車の駅の近くの場所で「自然破壊」が行われていることに憤りを感じている人がいるという噂を聞いたが、オフロードコースは自然破壊ではなく「自然と人間を守るためにある」とは言えないだろうか。世の中の人間すべてがオフロードライディングを知らなくなってしまうと、地球上すべてを舗装しなくてはならない。

 白バイ隊員と消防隊員と自衛隊員のオフロード競技会なんてどうだろう。速い遅いではなくオンタイム制にし、バイク(白バイ隊員はVF800P、消防隊員はTLR200、自衛隊員はKLXかな?)に合わせてタイムを設定する。メーカーの契約ライダーや一般の参加者も一緒に走ってもいいかもしれない。各都道府県から代表が出てきて、市町村長さんや議員さんが「わが○○市(町・村)のコースで腕を磨き、災害対策や日々の業務や交通安全に力を発揮してください」なんて挨拶するかもしれない。全国から集まった消防隊員や白バイ隊員、またその上司の署長さん達(ここ重要)と挨拶して名刺交換なんかもできるわけで。高校球児が「甲子園が目標ッス」と言うように、消防隊員が「○○○××大会での優勝が目標です」なんて言ったら効くだろうな。

 「そんなことできっこない」という意見がきっと出るだろう。実は私もそう思う。でも、これは親善野球大会とかサッカー大会ではなく、災害対策訓練の一環である。役所にすでに配備されている車両の運用技術の向上に役立つことである。これを否定するなら、そもそもそういう車両を配備する(税金を使う)のが間違っているということにならないだろうか。ヘリコプターを買ったらパイロットを養成しなくてはならないのと同様、オフロードビークルは日々訓練しないと上手く乗りこなせないのだ。なんとか乗る位なら年1回位でいいけど、仕事で他人を助けるために乗るなら最低でも月2回、出来れば週1回は乗らないと。

 そして本当にこんな大会(運動会でもいい)が年に一回でも実現できれば、オフロードライディングは「自然破壊ごっこ」ではないことが分かってもらえるのではないだろうか。人間に必要なものとして、文化として根付くきっかけになるのではないだろうか。

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