2008年9月 4日

地方 to 地方

 「これだけ宅配便が発達した現代では、首都圏に在庫拠点を置く必要はない」なんて話しが少し前に何度か聞こえてきた。確かに交通事情はよくなっていて、たいていのところには郵便や荷物が翌日着くようになっている。けれども、それはあくまで東京と大阪を中心とした行き来だからではないかな。

 たとえば長野県で生産した品物を東京と大阪の倉庫に入れ、そこから全国に出荷しているとする。これを長野から直送に切り替えればコストが安くなるのではないかという期待らしい。東京から長野へは18時頃に集荷した荷物が翌朝届くのだから、逆も大丈夫だろうという想定なのだろう。確かに東京へは大丈夫かもしれないけど、栃木とか茨城あたりだと午前中締切になっちゃうんじゃないかな。納期がたっぷり取れる品物なら大丈夫だろうけど、最近は「明日くれ。明後日じゃ遅い」みたいな話しばかりだからなあ。更に、冬の積雪などのリスクなども合わせて考えないといけない。

 飛行機、鉄道、高速道路等の路線網や時刻表を見ていると、人の行き来が想像出来る。特に飛行機の客席数や便数の違いは分かりやすい。以前聞いた話しでは、航空会社は遠距離電話の市外局番別の通話数を調べて便の設定の資料にしていたそうだ(今はIP電話や携帯電話が多くなって違ってきているのだろうが)。東京や大阪を拠点とすれば日本中たいていの地方都市に日帰りで出張できるが、地方から地方へは移動だけでほぼ一日使ってしまうところも多いだろう。愛媛の友人が松山から宮崎に出張した時、行きは急ぎなので空路で大阪経由、帰りはJRとフェリーを乗り継いだそうだ。

 自分であちこち飛び回っていて、たとえば東海道新幹線と東北・上越新幹線の違いなんかも十分感じているからどうしてもこのような考えになってしまう。業界全体が劇的に改善されて全商品が納期たっぷりなんてことは起きないだろう。今の納期は守ったままで運用できるなら別にどこでもいいとは思うが、結局は首都圏の周囲ってことになってしまうんじゃないかな。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.leftkick.com/mt/mt-tb.cgi/796

コメントする

Powered by Movable Type 4.22-ja