2009年4月 3日

未来の乗り物

 スーパーカブには昔から憧れていた。バイクの世界では、大きなオートバイを持っているのにツーリング等にはまったく行かず下駄代わりに使うことを「カブと化している」などと言ったりするが、カブに乗ったことがないのにそういうことを言うのはどうかなと言う気がしていた。乗ったことがある人は多いだろうが、大半はアルバイト先にあったからとか、そんな感じじゃないかな。ワシは一度も乗ったことがなかった。友人知人でカブに乗っている人なんて一人もいなかったしな。

 当時はレーサーレプリカブーム全盛のころだったので、カブどころかオフロードバイクに乗っているだけで異端児扱いされるような風潮だった。当時乗っていたホンダ・ゴリラがどうもパンチに欠けるような気がして、もっと速く走れるらしいカブは凄いなと思ったりしたのが最初だったかもしれない。でも乗ってみたいなと言ったとたんに「あんなのどこがいいんだよ」と言われる時代でしたな。

 カブに乗ってみたいという気持ちが別におかしいものじゃないと分かったのは、バイク雑誌に載っていたバイク評論家(?)のインタビューで、その人が左側のステップをカスタムしているカブに乗ってきたという記述を読んでだったな。たしかRC別冊『BE SPACE』だったような気がする。

 それから20年近く気持ちを封印(?)してきたのだが、90ccのカブを買って二人乗りするのはひょっとして最後のチャンスなのかなと思い、ようやくカブデビューした。理由はいろいろある。90ccモデルが生産終了になり後継モデルが出ないという噂が流れていること、昔の方が品質が良かったという話しを聞いたこと、今後部品の海外調達率が5%→80%へと一気に上がるらしいこと・・・もちろんワシ個人側の理由もある。燃費がいい乗り物を一台押さえておきたかったというのもあるな。「カブに乗らずにバイクを語っていいのか」「乗らずに死ねるか」という気持ちも少しあった。まあ、ワシが語る必要は全くないんだけど、表現は自由だし、気持ちはまだまだライダーだからw。

 で、現行型というか最終型(今のところ)の90の中古車、7年ぐらい前の低走行車を見つけた訳だが、乗って楽しむとか便利だとかいうだけでなく「教え」を授かるような気持ちになる。凄いバイクですな。

 モデルチェンジを繰り返すたびに魅力を失っていくクルマやバイクが多いが、永遠にマイナーチェンジを繰り返し熟成に熟成を重ねていく乗り物に乗れるのはとても素敵なことだ。しかもそれが自国のメーカーの乗り物だから、心の底から嬉しくなる。外車のパクリじゃなくてコンセプトも含めて全部本当にメイド・イン・ジャパンだ(たぶん)。プリウスよりも燃費いいし、7年経ってもまったく同じように使えそうだもんな。

 ただ、21世紀になって省エネや環境のことも考えつつ選んだバイクが生誕50周年を迎えたカブだったというのはやや残念な部分もある。ワシにとっての「未来の乗り物」は、50年前・・・ワシが生まれる前にもう生まれていたってことだったんだな。

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