2009年4月 4日

体が覚えていた

 スーパーカブのミッションといえばロータリーと呼ばれる「N→1→2→3→Nに戻る」を思い浮かべる方も多いだろうが、現在ロータリーと表記されているのはプレスカブと呼ばれる新聞配達用だけで、他のカブは「3段リターン」または「4段リターン」と表記されている。これは、基本的にはロータリーなんだけど、停止中のみトップギアからNに入るよう安全装置が組み込まれていて走行中は3または4からNには行かないから「リターン」と表示されているらしい。

 確かに、走ってる最中にシフトアップするつもりでトップからNに行ったりしたら怖いもんな。カブ90は3速しかなくて、「もう一速アップ」と思って踏んだけどもうギアがなかったなんてことは何度も起きる。プレスカブはきっとあえてその技を使いこなす達人たちが使うバイクなんだろうな。

 で、カタログ上はリターンとはいえ、普通のバイクの「1・N・2・3・4・5」とは違って「N・1・2・3」なのである。普通のバイクだったら『Nから踏み込めば1、足の甲でかき上げると2(半分かき上げればN)、あとはずっとかき上げて3からトップまで』という動作だが、カブ90の場合は『最初はN、踏み込んで1、もう一回踏み込んで2、もう一回踏み込んで3』なんですな。ちなみにカブの場合シフトダウンは足の甲ででかき上げるんじゃなくて、後ろ側をかかとで(またはつま先を後ろに移動して)踏む動作になる。最初は戸惑ったが、数時間で慣れた・・・つもりだった。

 特に何もすることのない土曜日、家族それぞれ思い思いのことをしているのでワシも自由行動をしようかと思い、カブでコーヒーを飲みに出かけた。2軒ハシゴしようかと思ったが軽く雨が降ってきたので1軒だけにし、家に向かってアクセルを開けた。土曜日の午後で雨が振り出したため道は混雑気味だった。渋滞を避けて川沿いの道を走った。

 さらに裏道に入り、舗装していない区間を通ることにした。数年に一回通る道だ。なんてことはない川沿いのフラットなダートだが、久しぶりに街をバイクで駆け抜ける快感に酔っていたワシの目には懐かしいオフロードのフィールドと同様に映った。カブに乗るときはカブらしく乗るようにしているが、このときばかりは久しぶりにステップの上に立ち、両腕で輪を作るようにしてグリップをやや外から持ち、アクセルの開け閉めをこまめに行いながらダート路面との対話を楽しむ。普段はニーグリップができず「カブ」ということを常時実感させられての運転だが、立ち上がってシートを足で挟み込んだ瞬間、乗っているバイクの銘柄なんてどうでもいい話になった。路面との対話だけに意識を集中した。

 至福の時間はほんの数十秒だったが、他の趣味での数時間分と同じぐらいの快感が脳内に広がったような気がする。90度ターンが目前になる。トラクションを保持しつつ減速する。

 モゴモゴモゴ・・・

 あれ? なぜモタつく??

 しかし、瞬時に気付いた。

「あ、これカブだ」

 無意識のうちにシフトダウンの動作をしていたようだ。で、カブなので逆に2速から3速にシフトアップしていた、というわけだ。改めてブレーキングとシフトダウンを行い、十分に減速してから右にターン。ダートを抜けて舗装路に戻った。

 本来ならカブの運転をミスったことで反省しなければならないのだろうが、ワシは体がダートバイクの操縦を覚えていたことがとても嬉しかったのだった。

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コメント(2)

昔のロータリーだと、3速4速から直でNに入って怖い思いをした事がありますね。その時はベンリィでしたけど。

つま先が痛まないからやっぱしロータリーは必要なんでしょうね。革靴で乗る機会も多い訳ですし。

そういや、上手くクラッチを合わせるとウイリーも出来ますよね。
なんか楽しそうだ。

 ベンリィも乗ったことないんですよ・・・CD125Tも好きでした。

 ウィリーは苦手(笑)。

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