2009年6月17日

割り切ったお付き合い

 何年か前にも書いたが、1÷3×3は手で計算すると1で、電卓で計算すると0.999999999になる。この違いを理解し運用に当たらないとコンピューターと手作業は融合しない、とワシは思っている。

 依頼者は「コンピューターで自動でやって」などと軽く言ってくる訳だが、中で考える人はどういう処理がいくつのパターン必要なのかを考えて仕組みを作っていくわけで、その時に依頼漏れがあると当然エラーになったり期待外(依頼者にとっては)の動きをする。最近は誰でも中途半端にコンピューター用語を知っているもんだから「バグだ」などと言って笑ったりする訳だが、それはバグではなくてオーダーミスである。まあ、依頼者の抽象的な要望を聞いた段階でそのことに思い至らなかったという点ではワシの責任ではあるが・・・

 今日もそういうトラブルがあった。端数の調整を入れる必要が生じた。行数に余裕がある場合は調整データを入れるだけで簡単なのだが、稀に行が一杯になっている伝票で調整を入れる場合がある。そういう場合は伝票を2枚に分けて処理する運用ルールなのだが、どうしても1枚でやれという。もともとこの処理はシステム発注の際はまったく話し合われておらず、運用が始まってから「これは出来ないのか」といきなり始まって対応してきたものだ。大部分は解決したが、どうしても1枚では処理しきれないケース(2枚に分ければ簡単に処理出来るのだが)が非常に稀な確率で起きる。

 一度は断ったが、怒りがいったん収まったところで他にも方法は無いかと思い作業してみた。主要なデータは運用ルール通りにしていじらず、コピーしたデータを印刷用データとして編集し、プログラムにも若干手を加えて要望通りの伝票が印刷出来るようにした。今までは基幹業務のデータがおかしくなるような変更は絶対に認めなかったが、「これは基幹業務の機能追加や修正ではなく、顧客サービス用の印刷ツールだ」と考えてみた。

 結果は・・・まあ当たり前だが上手く行く(印刷だけだからワープロみたいなもんだ)。システムとして見ればどうしようもない、最悪・最低のインチキ処理だが、メインデータは今までの運用通りだから気にしないでおく。新たなミスが生じる可能性もこれで増えてしまったが、この場合の運用ルールを新たに設定すればまあ大丈夫だろう。現場もトラブルが避けられて喜んでいる。釈然としない気分も残るが、これは顧客サービスだと割り切った。数字は割り切れないが、人間の気持ちは割り切れる。

 しかし、今回ばかりは「出来た」という嬉しい気持ちよりも残念な気持ちの方が大きかった。何年も前から定めているはずの運用ルールが簡単にひっくり返されてしまったこと、トラブルを避け安泰な方向になびく現場(ワシもか)・・・自分の考えに固執せず柔軟に対応出来たってことだけが収穫だったな。

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